ヨガ×健康経営
2025.06.01

【医師コメント付き】睡眠不足が生産性を下げる?企業ができる睡眠改善策と最新事例を徹底解説

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近年、健康経営が注目される中で、社員の睡眠が企業の生産性に与える影響がますます重視されています。このセクションでは、日本人の平均睡眠時間と労働生産性に焦点を当て、企業が取るべき具体的な対策について紹介します。

社員の睡眠と生産性の関係を正しく理解する

日本人の平均睡眠時間と労働生産性

日本人の平均睡眠時間と労働生産性

日本は「世界で最も睡眠時間が短い国」として知られており、最新の統計データによると、日本人の平均睡眠時間は約6時間前後です。長時間労働や通勤時間の長さなどが背景にあり、これが「眠らない国」と呼ばれる要因です。

参考:PR TIMES

睡眠不足は、労働生産性の低下に直結しています。睡眠不足が従業員の集中力や意思決定能力を低下させ、業務効率の低下やミスの増加につながります。日本の有職者の約3人に1人が「眠くて仕事が進まない」と回答しており、プレゼンティーズムの一例となっています。

成人に推奨される睡眠時間は6時間以上ですが、多くの日本人がこの基準に達していません。企業は従業員の健康管理と生産性向上のため、具体的な対策を講じる必要があります。

LAVA産業医の筏井先生からのコメントです。

筏井 聡子医師帝京大学医学部卒/日本医師会認定産業医/日本人間ドック学会認定医/点滴療法研究会/日本抗加齢医学会/日本オーソモレキュラー医学会

睡眠は、単なる休息ではなく、ホルモンバランスを整える“生理的な再起動”の時間です。睡眠不足が続くと、心身の健康や日中のパフォーマンスに深刻な影響を与えます。例えば、
・コルチゾールの過剰分泌
睡眠不足が続くと慢性的なストレス状態や高血圧、免疫機能の低下が引き起こされます。

・セロトニンの減少
気分の安定やメラトニンの材料としても重要です。睡眠不足によりセロトニンが減少すると、うつ症状や不安感が強まり、さらに睡眠の質が悪化するという悪循環に陥ります。

睡眠不足は単なる“眠気”にとどまらず、ホルモンバランスを通じて心身の健康全体に影響を及ぼします。企業においても、従業員の睡眠環境を整えることは、健康経営の観点から極めて重要と言えます。

企業が被る“見えないコスト”──睡眠不足の影響とは

睡眠不足は従業員の生産性低下や経済的損失を引き起こす要因として深刻です。有職者の約3人に1人が「眠くて仕事が進まない」ことで業務効率が低下しています。また、睡眠不足はミスの増加や意思決定ミスを招き、企業の業績に悪影響を与えます。
従業員の疲労蓄積は安全性の低下をもたらし、事故発生率の上昇を招く可能性があります。長期的には医療費の増大や離職率の上昇につながり、企業の持続可能性を脅かします。企業は早期に睡眠不足による“見えないコスト”を把握し、対策を講じることが求められます。

健康経営の重要テーマ「睡眠」をどう捉えるか

健康経営では、睡眠は従業員の心身の健康に不可欠です。十分な睡眠は、ストレス耐性向上や生産性の向上に寄与します。企業は睡眠改善を他の健康促進活動と連携させ、従業員の総合的な健康を向上させる必要があります。

生産性低下・メンタル不調を招く「睡眠課題」

免疫力低下と生活習慣病リスク

睡眠不足は免疫機能の低下を引き起こし、体の防御力を低下させます。睡眠中にはリンパ球の増加が促進され、これが不足すると免疫細胞の数が減少し、感染症にかかりやすくなります。また、生活習慣病のリスクを高め、糖尿病や心血管疾患、肥満の発症率が上昇します。企業は効果的な対策を講じ、従業員の健康を守ることが重要です。

筏井医師のコメント
睡眠中には免疫細胞の修復や増殖が活発に行われ、特に深いノンレム睡眠では成長ホルモンが分泌されて免疫力が高まります。
しかし、睡眠不足が続くとこれらのホルモン分泌が減少し、免疫細胞の働きが鈍くなります。その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
また、睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させ、免疫抑制作用を強めるため、病原体への抵抗力がさらに低下します。

精神的健康問題とプレゼンティーイズム

睡眠不足はメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼし、ストレスの増加やうつ症状の悪化を招きます。これが日常業務における集中力低下や職場での人間関係の悪化を引き起こす要因です。睡眠不足は、プレゼンティーイズムの原因としても重要です。企業はこれらの問題に対処するため、睡眠環境の改善や柔軟な勤務制度の導入を検討すべきです。

筏井医師のコメント
慢性的な睡眠不足は、セロトニンの分泌低下やストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を引き起こし、うつ症状や不安感を悪化させる要因となります。
こうしたメンタル不調は、集中力や判断力の低下を招き、結果としてプレゼンティーイズム(出勤していても生産性が低い状態)の大きな要因になります。実際、睡眠不足が1〜2日続くだけでも前頭前野の働きが鈍り、感情のコントロールや注意力が著しく低下します。

睡眠時間と生産性の関係

睡眠時間と生産性は企業の業績や従業員のパフォーマンスに直結します。多くの研究が示すように、適切な睡眠時間の確保は業務効率の向上やミスの減少に寄与します。逆に、睡眠不足は生産性の低下やエラーの増加を招きます。企業は適切な睡眠時間を確保するための環境整備が重要です。

筏井医師のコメント
7〜8時間の睡眠をとっている労働者は、6時間未満の睡眠者に比べて生産性が高いという研究結果もあります。特に若年層では、睡眠時間の短縮が集中力や判断力の低下に直結し、業務効率の低下を招きます。
睡眠時間が5〜6時間の状態が続くと、生産性が7〜10%低下するという報告もあり、24時間起き続けた場合の認知機能は、血中アルコール濃度0.10%相当の酩酊状態に匹敵するという研究結果もあります。

企業はどう取り組んでいる?睡眠支援の実例集

企業の睡眠支援事例

【事例】三菱地所:昼寝制度でパフォーマンス改善

三菱地所は、生産性向上と満足度向上を目的に「昼寝制度」を導入しました。勤務時間中に一定の昼寝時間を確保するもので、生産性が15%向上しました。昼寝後に集中力が回復することで効率が上がったとの声が多く、ストレス軽減にも効果があります。

参考:BUSINESS INSIDER

【事例】NTT東日本:ITを活用した睡眠改善支援

NTT東日本は、ITツールを活用して従業員の睡眠質向上を目指しています。睡眠トラッキングアプリやAIによる個別化された改善策を提供し、従業員の日中の集中力を向上させています。データ分析を通じた継続的な改善が評価されています。

参考:PR TIMES

【事例】東洋インキグループ:睡眠改善プログラムの実施

6週間のプログラムで、オンラインセミナーや睡眠計測デバイスとスマートフォンアプリを用いて、参加者一人ひとりが抱える睡眠課題を可視化。質の高い睡眠の支援を行いました。

参考:PR TIMES

自社に合った睡眠支援の始め方とポイント

スリープテックで見える化する「睡眠の質」

AI・デバイス活用で、睡眠を“見える成果”に変える

AI技術およびウェアラブルデバイスは、従業員の睡眠の質を詳細に分析します。データ可視化や個別最適化された改善策の提供により、企業は成果を得られます。

睡眠環境の改善と睡眠ガイドの提供

静音スペースや照明の調整、仮眠室の設置が効果的です。睡眠ガイドや教育プログラムによる従業員のサポートが求められます。

健康経営の取り組み

生活習慣病予防と女性の健康づくり

睡眠不足は高血圧や糖尿病、心疾患などの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。質の良い睡眠を確保することで、これらの病気の予防に繋がります。企業は従業員の睡眠の質を向上させるために、睡眠教育や休息時間の管理、仮眠スペースの提供などの取り組みを行うことが効果的です。
また、女性は家事や育児の負担が大きく、男性よりも睡眠時間が短い傾向にあります。ホルモンバランスの変化や更年期など、女性特有の健康課題も存在します。企業が女性の健康に配慮した睡眠支援を行うことで、女性従業員の健康維持と生産性向上に繋がります。

禁煙推進とライフワークバランスの向上

喫煙は睡眠の質を低下させる要因の一つです。ニコチンは覚醒作用があり、喫煙者は深い睡眠を得にくくなります。企業が禁煙を推進することで、従業員の睡眠の質が向上し、結果として健康状態の改善や生産性の向上に繋がります。
また、ライフワークバランスの向上は、従業員が十分な睡眠を確保するために重要です。過度な労働時間やストレスは、睡眠不足や睡眠障害の原因となります。企業がライフワークバランスを重視することで、従業員の健康と生産性が向上します。

筏井医師のコメント
睡眠は生活習慣病予防やメンタルヘルスの維持に欠かせない要素です。企業が睡眠支援に取り組む際は、個人差や睡眠障害の可能性に配慮し、柔軟な対応をするのがいいでしょう。
例えば、勤務間インターバル制度や仮眠スペースの設置、医師監修の睡眠教育など。特に女性従業員には、ホルモン変化や育児負担を考慮した支援が望まれます。

従業員の参加を促す方法

睡眠課題の洗い出しと改善プログラムへの参加

従業員の睡眠課題を正確に把握し、改善策を導入します。アンケートやインタビューを通じて睡眠状況を分析し、効果的なサポートを提供します。また、企業のサービスを利用して改善プログラムを実施することで、参加率を上げることも可能です。

企業のサービスで行われている睡眠改善プログラムというと、睡眠教育セミナーの開催やストレス管理プログラムの提供などが挙げられます。

ホットヨガスタジオLAVA
睡眠改善に向けた「至福の睡眠ヨガ」というレッスンがあり、入眠直後の最も深い睡眠であるノンレム睡眠の時間を延長することが実証されております。検証実験の結果、通常の入眠時よりも38%長く深い睡眠を得ることができました。「黄金の90分」の質向上に繋がると実証されています。スタンフォード大学の睡眠研究の知見を取り入れたブレインスリープ社との共同開発によるものです。
参考:ホットヨガスタジオLAVA 至高の睡眠ヨガ

パフォーマンス向上とリテンションのためのインセンティブ

従業員のモチベーションを高め、睡眠改善プログラムへの参加を促進する効果的な手段です。金銭的インセンティブや休暇制度の充実、健康管理支援、キャリア開発支援、社内表彰制度などを導入することで、従業員の参加意欲を高めることができます。例えば、ボーナスや特別休暇の付与、健康診断の無料提供、研修やセミナーの参加費用負担、優秀従業員の表彰などが効果的です。これにより、従業員の睡眠改善への参加を促進し、企業全体のパフォーマンス向上とリテンション率の改善につながります。

まとめ:社員の睡眠が、企業の成果につながる時代へ

社員の睡眠と企業の生産性は密接に関連しています。健康経営では、睡眠の重要性がますます高まっており、企業は従業員の睡眠環境を整え、生産性向上を実現する必要があります。具体的な睡眠改善策を導入することで、従業員の健康を守り、企業の生産性向上を実現することが期待できます。
この記事を通じて、企業の生産性向上を考え直し、従業員の睡眠改善に取り組むきっかけとなれば幸いです。

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