人が定着しない企業の特徴とは?定着率向上へ向けた3つの効果的アプローチ

企業にとって人材流出を防ぐことは重要です。社員が長く働き続けることで、企業の持続的な成長が可能となることから、定着率の向上は企業にとって非常に重要な課題です。
本記事では、人材が定着しない企業にどのような特徴があるのか、また人材の定着率向上のために取り組むべき解決策を紹介します。職場環境の改善、給与や福利厚生の充実などについて、企業ごとの背景に合わせた対策を考え、さまざまな施策を実行に移しましょう。
定着率とは何か?

定着率は社員が長期間働き続ける割合を示すものであり、社員育成の状況を表します。計算方法は以下で求められます。
「現在の在籍従業員数 ÷ 入社時の従業員数 × 100」
高い定着率は社員の成長を促し、企業の競争力を強化します。優秀な人材が集まりやすくなり、持続的な成長の基盤が築かれます。
日本の定着率の現状
2022年のデータによると、国内全体での社員の定着率は85.0%で、正社員は88.1%、パートタイム従業員は76.9%でした。新卒者の3年以内の定着率は、大卒で68.5%、高卒で64.1%と低い傾向にあります。
これらのデータから、特に若年層の定着率向上が重要であることが明らかです。
定着率が企業に与える影響

定着率は企業の持続可能な成長に直結する重要な指標です。高い定着率を維持することで、人材育成の効率が向上し、従業員のスキルや知識が蓄積され、結果として生産性や業績の向上に繋がります。また、優秀な人材を長期間確保できるため、採用活動にかかるコストや時間を削減でき、企業全体の競争力を強化することが可能です。
一方で、定着率が低下すると採用コストの増加や人材育成の非効率性といったリスクが顕在化します。頻繁な社員の入れ替わりは、採用活動にかかるコストの増加だけでなく、新入社員の育成に時間と資源を多く費やす必要が生じます。これにより、業務の中断やプロジェクトの遅延が発生し、企業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、定着率の向上は企業のブランドイメージの向上にも寄与します。従業員が長く勤めることで、企業内の安定感や信頼性が高まり、外部からの評価も向上します。これにより、優秀な人材の応募が増えるとともに、顧客や取引先からの信頼も得られやすくなります。結果として、企業の市場での競争力が一層高まります。
人が定着しない企業の特徴とは?

では、実際に定着率や離職率に課題を抱えている企業にはどのような特徴があるのでしょうか?
労働環境に問題がある
従業員にとって働きやすい環境であるかどうかは、人材定着の基盤となる部分です。労働環境には様々は観点からの配慮が必要となります。
・給与・待遇面:能力や成果に見合った評価や報酬が得られない、交通費や家族手当などの福利厚生が不十分
・労働時間・休日:長時間労働の常態化、休日出勤が多い、有給休暇を取得しにくい等、プライベートを犠牲にした働き方
・労働環境・設備:必要な設備が整っていない、安全配慮が不十分等、オフィス環境が整備されていない
・人事評価制度:評価基準が曖昧、不透明、納得感が得られない評価、昇進の機会が少ない
企業文化・組織風土に問題がある
明確には見えていない社風などに問題がある場合、従業員同士の信頼関係が構築されず、会社に対してのエンゲージメントも下がってしまう要因となります。
・社員同士のコミュニケーション不足:上司や同僚とのコミュニケーション不足、風通しが悪い、報連相が円滑でない
・ハラスメント問題:パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等、様々な種類のハラスメントが横行してしまっている
・人材育成制度が整っていない:教育・研修制度が不十分、スキルアップの機会がない、キャリアパスが明確でない
・理念やビジョンへの共感不十分:企業理念やビジョンが不明確、社員に浸透していない、社員が共感できていない
業務内容やプロセスに問題がある
業務内容やプロセスに問題があると、社員の体力・精神的な負担を増大させ、離職に繋がる大きな要因となります。
・業務量・内容:業務量過多、常に時間に追われている、業務内容が単調でやりがいを感じにくい
・責任・権限:責任と権限が不一致、裁量権が少なく、モチベーションが低い
・業務プロセス:非効率な業務プロセス、属人的な業務が多い、改善が進まない
不十分な採用活動
定着する人材を確保するには、採用の段階から問題が発生していないか検討する必要があります。
・採用ミスマッチ:募集要項と実際の仕事内容に乖離、企業文化に合わない人材を採用している
・採用基準に問題がある:表面的なスキルや経験のみを重視、ポテンシャル採用ができていない
定着率向上を目指す効果的な3つのアプローチ
効果的アプローチ1:労働環境の改善

健康管理の仕組みを導入
従業員の健康維持は、定着率向上に直接的な影響を与えます。健康な従業員は業務に対する意欲が高く、離職のリスクが低減します。具体的な健康管理プログラムとしては、以下のようなものがあります。
・定期健康診断:従業員の健康状態を定期的にチェックし、早期に健康問題を発見する。
・メンタルヘルスサポート:カウンセリングサービスの提供やストレス管理セミナーの開催。
これらの健康管理の仕組みを導入した企業では、従業員の満足度が向上し、結果として定着率の改善が見られます。
導入事例:LAVAのメンタルヘルスサポート

ここで一つLAVAがお手伝いさせていただいた導入事例をご紹介いたします。
業種:金融機関
目的:メンタル不調による休職、離職の対策として
内容:オンライン配信によるマインドフルネスセミナー
15分間のセミナー(座学)を行ったのちに、椅子に座りながら行える姿勢改善に特化したヨガを実施し、従業員の皆様はご自宅等リラックスできる環境から参加されました。マインドフルネスセミナーでは日常や仕事の中で活かせる考え方、実践方法を学んでいただけることで、参加された方々からは
「日常的にストレスに左右されないためのヒントを得られた」
「初めてのマインドフルネスだったが、気分も落ち着きその後の業務がスムーズになった」
などといった、即効性を感じていただけるセミナーとなりました。
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柔軟な働き方の実現
近年、柔軟な働き方が多様なニーズに対応するために注目されています。従業員の働きやすさを向上させ、定着率の向上にも寄与する重要な要素となっています。
・テレワーク:自宅やカフェなどオフィス以外の場所で業務を行うことが可能
・フレックスタイム制:従業員が自身のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できる
・時短勤務:育児や介護などの理由で勤務時間を短縮する制度
これらの柔軟な働き方は、従業員のワークライフバランスの向上や仕事への満足度の増加に大きな影響を与えます。従来の固定された勤務形態からの解放により、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能となり、結果的に従業員のモチベーションや生産性の向上につながります。
効果的アプローチ2: 待遇の充実

給与水準の見直し
給与水準の見直しは、従業員の満足度と定着率を高めるために非常に重要です。まず、市場の給与水準と自社の給与を比較し、適正な給与を設定することが求められます。これにより、従業員は自分の働きに対して正当な報酬を受け取っていると感じ、会社への信頼感が向上します。
福利厚生の充実
福利厚生の充実は、従業員の満足度と定着率に大きな影響を与える重要な要素です。充実した福利厚生制度は、従業員が安心して長期的に働ける環境を提供し、企業への忠誠心を高めます。これにより、離職率の低下や優秀な人材の確保につながります。
福利厚生を充実させるためには、まず従業員のニーズを把握し、それに基づいた制度設計を行うことが重要です。また、導入後は制度の利用促進や定期的な見直しを行い、継続的に改善していくポイントが求められます。
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キャリアアップの機会提供
キャリアアップの機会提供は、従業員の定着率向上に大きく貢献します。従業員が自身の成長と将来のビジョンを持つことができる環境を整えることで、企業へのロイヤルティが高まり、長期的な勤務意欲が向上します。また、キャリアパスが明確に示されている企業では、従業員が自分の役割や目標を理解しやすくなり、業務に対するモチベーションも高まります。
キャリアアップを支援するためには、スキル向上プログラムやキャリアパスの設計が不可欠です。
・スキル向上プログラム…専門的な研修や資格取得支援、eラーニングの提供など、従業員が必要なスキルを習得できる機会を設ける。
・キャリアパスの設計…個々の従業員のキャリア目標に合わせた昇進や異動の計画を立てることで、将来の成長ビジョンを具体化する。
キャリアアップの機会提供は、単なる福利厚生の一環ではなく、企業の戦略的な人材マネジメントとして位置づけることが重要です。従業員一人ひとりの成長を支援することで、企業全体の競争力も向上し、持続可能な成長を実現することができます。
効果的アプローチ3: 人間関係の構築支援

社内イベントの開催
社内イベントは、従業員同士の交流やチームワークの促進に大きく寄与し、結果として定着率の向上につながります。イベントを通じて従業員はお互いをより深く理解し、職場での信頼関係を築くことができます。
効果的な社内イベントの企画・運営には、従業員の興味やニーズに合った内容を選ぶことが重要です。
・チームビルディングを目的とした社内イベント
・リラックスできる懇親会、社内交流会
・アウトドア活動やスポーツ大会
社内イベント実施後には、フィードバックの収集と効果測定が不可欠です。アンケートやインタビューを通じて参加者の感想や改善点を把握し、次回のイベントに反映させることで、継続的な改善が可能となります。また、定着率の変化や従業員の満足度の向上といった具体的な指標を用いて、イベントの効果を評価します。
コミュニケーションスキルの研修
コミュニケーションスキルの研修は、従業員の協力やチームワークの促進に大きく寄与し、結果として定着率の向上に繋がります。効果的なコミュニケーションは、職場での摩擦を減少させ、信頼関係を築く基盤となります。
コミュニケーションスキルの向上は、企業全体のパフォーマンス向上にも直結します。円滑な情報共有や問題解決の迅速化が実現し、生産性の向上や業績の改善に繋がる具体的な効果が期待できます。
チームビルディングの取り組み

チームビルディング活動は、従業員同士の協力や信頼関係を築くために不可欠です。これにより、社員一人ひとりがチームの一員としての意識を高め、仕事への満足度やモチベーションが向上します。結果として、定着率の向上に大きく寄与します。
効果的なチームビルディングの方法としては、以下のような具体的な活動例があります。
・アウトドアアクティビティやスポーツイベントの実施
・社内イベントや研修を通じた社員同士の共同作業
・社内コンテストやプロジェクトを活用した協力体制の強化
これらの活動は、従業員同士のコミュニケーションを活性化し、信頼関係を深めるために効果的です。
チームビルディングの成果は、企業文化の向上や業績の向上にも具体的な効果をもたらします。良好なチームワークはプロジェクトの成功率を高め、社員のパフォーマンス向上にも繋がります。さらに、ポジティブな企業文化は新たな人材の採用にも有利に働きます。
定着率を改善した企業の実例
事例1:五稜会病院|ライフイベントに応じた働き方を支援
日本の看護師不足が深刻化しているなか、同院のように、病床数が200床未満の病院における離職率は14.1%と、200床以上の病院の10.5%と比べても高い状況です。離職原因には、人手不足による職員への負担増や、女性のライフイベント(結婚・出産)などがあり、それを解決すべく以下のような取り組みを行いました。
・ワークライフバランスへの考慮(時短勤務、夜勤免除など)
・看護師の成長ステージに合わせた研修の実施
・不安や悩みを相談できるメンタルサポート体制の構築
看護師への支援策を強化したことで、2021年の離職率は7.22%となり、200床未満の病院平均の14.1%よりも低い水準を実現しています。
参考:五稜会病院における離職防止対策の取り組み|日本精神科病院協会事例3:株式会社A・I・C広島マネジメント|女性従業員のキャリアアップを後押し
ホテル経営を行う株式会社A・I・C広島マネジメントでは、ホテル業界全体でも課題である高い離職率を改善すべく、女性従業員の定着に取り組んでいます。同ホテルでは、女性従業員の比率が57.6%と半数を超えており、女性従業員がより活躍できる環境を構築するために、キャリアに関するさまざまな取り組みを行っています。
・採用の段階から「キャリアアップを希望するか否か」をヒアリング
・将来ビジョンを明確に持った人物を登用
・数年先のビジョンを具体化するキャリア面談
定着率改善に向けて、ジョブローテーションなどを組み合わせて実施したことで、4年間での離職者を約52%減らすことに成功しています。
女性活躍事例(株式会社A・I・C広島マネジメント)|広島県(参考)社内の健康管理/コミュニケーション促進として!LAVAの法人向けサービス

定着率向上を目指す中で、重要である従業員の健康管理やコミュニケーション促進として、LAVAでは2つのサービスを有効にご利用いただけます。
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またオンラインであれば一度に100人以上も一斉に参加することができ、インストラクターが適宜参加者へ声掛けをしながら、離れた場所にいても繋がりを感じられる時間を過ごすことが可能です。
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まとめ
・定着率の向上は、企業の持続的な成長が可能となることから、企業にとって非常に重要な課題となる。
・高い定着率を維持することで、優秀な人材を長期間確保できるため、採用活動にかかるコストや時間を削減でき、企業全体の競争力を強化することが可能となる。
・対策として労働環境や評価制度の整備、また福利厚生の充実や従業員の健康管理、コミュニケーション促進等、様々な側面からの取り組みを立案し実行することが必要となる。
自社にとって定着率向上のカギとなる施策は何なのか、現状の課題を把握し立案、実行していきましょう。