ヨガ×健康経営
2025.05.01

女性活躍推進法の解説と研修などの取り組み事例をご紹介

厚生労働省が、雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のための対策として、女性活躍推進法を令和元年に改正し、令和4年度から施行されております。

こちらのコラムでは女性活躍推進法を解説し、企業などが取り組んでいる研修等の事例をご紹介いたします。

女性活躍推進の背景と法的枠組み

女性活躍推進の背景には、

・男女平等の実現

・経済成長

・多様性の促進

など社会的にも経済的にも様々な背景がございます。女性も男性と同じように働いて社会に貢献し、経済を活性化させ、様々な視点やアイデアで社会をより良いものへと進めて行くにも必要な要素となりえます。

また、2015年に成立した女性活躍推進法は、この動きを支える重要な法的枠組みとなっています。ここでは、これらの背景と法的枠組みについて解説します。

女性活躍推進法の概要

女性活躍推進法は、2015年に成立した法律であり、企業における女性の職業生活における活躍を促進することを目的としています。この法律は、少子高齢化による労働力不足や男女間の賃金格差といった社会的課題に対応するため、女性の雇用環境の改善とキャリア支援を強化するものです。

企業には、女性活躍の現状分析、行動計画の策定・公表、および取り組みの実施と効果測定といった義務が課されています。これにより、企業は女性の採用や昇進の機会均等を図り、働きやすい職場環境の整備に努める必要があります。また、この法律の遵守は、企業の社会的責任を果たす上で重要であり、持続可能な成長やブランド価値の向上にも寄与します。

企業に求められる行動計画

女性活躍推進法に基づき、企業は具体的な行動計画の策定が求められます。

この計画には、

・女性の採用比率や管理職比率の目標設定

・キャリアアップ支援策

・働きやすい環境の整備

などが含まれます。

女性活躍支援の証、”えるぼし認定”とは

えるぼし認定は、女性活躍推進において優れた取り組みを実施している企業を評価・認定する制度です。この認定を取得することで、企業は女性社員のキャリア支援や働きやすい環境整備に対する真摯な姿勢を外部に示すことができます。認定の基準には、女性の採用比率や管理職比率の向上、昇進機会の均等化、柔軟な勤務形態の導入などが含まれており、企業はこれらの基準を満たすために具体的な施策を講じる必要があります。

さらに、えるぼし認定を取得することは企業のブランド価値の向上にも寄与します。この認定は、優秀な人材の確保や社員の満足度向上にも繋がるため、多くの企業が積極的に取得を目指しています。

具体的な取り組みと事例

ここでは、女性活躍推進のための具体的な取り組みと成功事例を紹介します。採用比率の向上、キャリアアップ支援、働きやすい環境づくり、能力発揮の機会提供、および仕事と家庭の両立支援の5つの主要な戦略について、実際の企業事例をあげて解説します。

採用比率の向上

女性の採用比率の向上は多様性を促進し、組織の競争力を高めるために極めて重要な要素です。女性の管理職候補者を増やすための効果的な採用戦略や、具体的な目標設定方法、ヒットしやすい求人広告を作成し女性の採用比率の向上を図りましょう。

事例:楽天グループ株式会社

楽天は、ダイバーシティを推進するために、採用時に年齢・性別の情報を問わない方針を採用し、女性のキャリアアップを支援するプログラムを提供しています。また、社内託児所の設置など、子育て中の社員が働きやすい環境を整備しています。女性従業員比率は約40%で女性管理職比率は約32%に達しています。

楽天の女性活躍 | 楽天グループ株式会社(参考)

キャリアアップ支援

女性社員のキャリアアップを支援するための具体的な方法はメンタープログラムの導入、研修や教育機会の提供、明確なキャリアパスの設定、そして昇進を促進するためのポリシーなどがあります。

事例:キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社ではより多くの女性が仕事と生活それぞれが充実する働き方を実現し、自己成長と会社への貢献を両立しながらキャリア形成できる組織風土を実現するべく、適性を踏まえ早めにチャレンジングな業務を経験し、仕事の面白みを体感して、出産などのライフイベントを経てもキャリア形成が出来るよう、「早回しのキャリア形成」で育成するという方針があります。

キリングループの「女性活躍推進長期計画2030」を策定(参考)

働きやすい環境づくり

こちらでは、女性が職場で快適に働けるようにする為に、柔軟な勤務形態の導入、職場文化の変革、育児支援制度などのサポート体制の整備に焦点を当てます。

事例:東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

多様な働き方に応えるべく、2025年4月1日より育児を目的とした時短勤務の対象年齢を3歳までから小学校6年生までに引き上げを行いました。

仕事と育児・介護の両立支援の拡充について - JR東日本(参考)

能力発揮の機会提供

女性社員が自身の能力を最大限に発揮できるよう、プロジェクトリーダーとしての役割割り当て、クロスファンクショナルチームへの参加、主要プロジェクトでの可視性向上など、さまざまな機会を提供することが重要です。

事例:資生堂株式会社

資生堂は、女性のキャリアアップを支援するために、育児休業やフレックスタイム制度の導入をしたり、女性リーダー育成のための資生堂女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を2017年から実施をしたりしています。2024年1月時点では、このプログラムの受講者184名(2022年まで)のうち97名が昇格をするという成果も見られています。

参照:資生堂DE&I ラボ(参考)

仕事と家庭の両立支援

仕事と家庭の両立をスムーズにする為には心身共に健康であることが大前提となります。女性のライフステージによって異なる課題にも対応することで、女性が安心して働き続けられます。また、健康でいることで、仕事のパフォーマンスも向上します。

女性の活躍推進によって企業にもたらされるメリット

女性活躍推進は、企業に対して多様な人材の確保によるイノベーションの促進、企業価値の向上、およびジェンダー平等がビジネスに与えるプラスの影響といった多くのメリットをもたらします。

メリット①多様な人材の確保

女性の積極的な活躍推進が多様な人材の確保につながる理由は多岐にわたります。多様なバックグラウンドを持つ女性社員が増えることで、創造性の向上や問題解決能力の強化が期待できます。異なる視点や経験が企業内に取り入れられることで、革新的なアイデアが生まれやすくなり、競争力の向上にも寄与します。

さらに、多様な人材を確保することで、市場への広がりも促進されます。顧客基盤が多様化する中で、多様な人材がいる企業は、さまざまなニーズに対応しやすくなり、新たな市場開拓や製品開発にも有利な立場に立つことができます。このように、女性活躍推進は企業のイノベーションや持続的な成長を支える重要な要素となります。

メリット②企業価値の向上

女性活躍推進は企業に多大なメリットをもたらし、企業価値の向上に直結します。具体的には、企業の評判やブランドイメージの向上、投資家や優秀な人材に対する魅力の増加などが挙げられます。特に、社会的責任を果たす企業としてのイメージは市場で高く評価され、多様な人材が集まることで企業の競争力が強化されます。これにより、女性活躍推進が企業全体の価値向上に寄与するプロセスが明確になり、持続可能な成長を支える基盤となります。

メリット③ジェンダー平等のビジネスへの影響

ジェンダー平等は、ビジネスパフォーマンスの向上に直結する重要な要素です。多くの研究やデータが、性別多様性が高い企業ほどイノベーションの促進や業績の向上に寄与していることを示しています

また、ジェンダー平等の実現は社員の満足度や忠誠心の向上にも寄与します。性別に関係なく、公正な評価や機会が提供されることで、社員は自分の能力を最大限に発揮できる環境が整います。これにより、離職率の低下やチーム全体の士気向上が期待でき、企業全体の生産性が向上します。

まとめ

女性の活躍推進は単なる社会的責任を果たすだけでなく、ビジネスの競争力強化や持続可能な成長にも大きく貢献します。女性の活躍推進をすることで、多様な視点やスキルが集まり、より強固な組織基盤を築くことが可能となります。

貴社も女性の活躍推進に取り組んでいきましょう。